歩くスピードが遅くなった時に考えたいこと🐾リハブログ③
歩くスピードが遅くなったときに考えたいこと

歩くスピードの変化は、身体の状態に気づくきっかけになります。
イラスト:いらすとや
「以前より歩くのが遅くなった」
「家族と歩くと、少し遅れてしまう」
「信号を渡りきるのが不安になってきた」
「外出すると疲れやすくなった」
「歩くのが不安で、外に出る回数が減ってきた」
このようなお悩みはありませんか?
歩くスピードが遅くなることは、年齢のせいだけとは限りません。
足の筋力、バランス、関節の動き、痛み、疲れやすさ、外出機会の減少など、いくつかの要因が関係していることがあります。
今回は、理学療法士の視点から、歩くスピードが遅くなったときに確認したいポイントについてお伝えします。
歩くスピードは、身体の状態を表すサインの一つです
歩くスピードは、単に「速く歩けるかどうか」だけの問題ではありません。
歩くためには、足の筋力、バランス、関節の動き、姿勢、体力、痛みの状態など、さまざまな要素が関係しています。
そのため、歩くスピードが遅くなってきたときは、身体のどこかに変化が出ているサインかもしれません。
たとえば、次のような変化がある場合は注意が必要です。
「歩幅が狭くなった」
「足が上がりにくくなった」
「すり足になってきた」
「方向転換でふらつく」
「少し歩くと疲れやすい」
「膝や腰の痛みで歩くのが不安」
大切なのは、無理に速く歩こうとすることではありません。
まずは、なぜ歩きにくくなっているのかを確認することが大切です。

歩幅や足の上がり方は、歩行状態を確認する大切なポイントです。
イラスト:いらすとや
原因1:歩幅が狭くなっている
歩くスピードが遅くなる原因の一つに、歩幅が狭くなることがあります。
歩幅が狭くなると、一歩で進める距離が短くなるため、自然と歩くスピードも遅くなります。
歩幅が狭くなる背景には、足の筋力低下、股関節や足首の動きにくさ、バランスへの不安、転倒への恐怖感などが関係していることがあります。
ご自宅では、次のような様子を確認してみましょう。
「以前より小刻みに歩いている」
「足が前に出にくい」
「歩くときに足元ばかり見ている」
「人と一緒に歩くと遅れやすい」
「曲がるときに歩幅がさらに小さくなる」
歩幅が狭くなると、ちょっとした段差や床の変化にも対応しにくくなることがあります。
そのため、歩幅の変化は転倒予防の面でも大切なポイントです。
原因2:足の筋力や体力が落ちている
歩くためには、太もも、お尻、ふくらはぎ、すねの筋肉などが働いています。
足の筋力が落ちると、足を前に出す力や、身体を支える力が弱くなり、歩くスピードが遅くなることがあります。
また、筋力だけでなく、体力の低下も関係します。
少し歩いただけで疲れる。
休憩しないと長く歩けない。
外出した翌日に疲れが残る。
このような場合は、歩く力だけでなく、全身の持久力も低下しているかもしれません。
特に、外出の回数が減ると、歩く機会も少なくなります。
歩く機会が減ることで、さらに筋力や体力が落ちやすくなることがあります。

歩く力を保つためには、足の筋力や体力を無理なく保つことが大切です。
イラスト:いらすとや
原因3:バランスに不安がある
歩くスピードが遅くなる背景には、バランスへの不安が隠れていることもあります。
人は、ふらつきがあると自然と慎重に歩くようになります。
歩幅を狭くしたり、足元を見ながら歩いたり、方向転換をゆっくり行ったりします。
これは、身体が転ばないように守ろうとしている反応でもあります。
ただし、ふらつきがある状態をそのままにしておくと、外出への不安が強くなり、活動量が減ってしまうことがあります。
次のような場面で不安がある場合は、バランス能力の低下が関係しているかもしれません。
「方向転換でふらつく」
「人混みで歩くのが怖い」
「暗い場所で歩きにくい」
「段差や坂道が不安」
「立ち止まったあと、再び歩き出すときにふらつく」
バランスに不安がある場合は、無理に速く歩くのではなく、安全に歩ける環境で練習することが大切です。
原因4:痛みをかばって歩いている
膝や腰、股関節、足首などに痛みがあると、歩くスピードが遅くなることがあります。
痛みがあると、無意識に痛い側の足へ体重をかける時間を短くしたり、歩幅を狭くしたりすることがあります。
その結果、歩き方が不安定になったり、反対側の足や腰に負担がかかったりすることもあります。
次のような様子がある場合は、痛みが歩行に影響している可能性があります。
「歩き始めに膝が痛む」
「長く歩くと腰が重くなる」
「片方の足をかばって歩いている」
「歩いたあとに足や腰の痛みが強くなる」
「痛みがあるため外出を控えている」
痛みがある場合は、無理に歩く量を増やす前に、身体の状態を確認することが大切です。

痛みをかばった歩き方は、歩行の不安定さにつながることがあります。
イラスト:いらすとや
ご自宅で確認したいサイン
歩くスピードの変化は、毎日の生活の中で気づけることがあります。
次のような変化がないか確認してみましょう。
「家族と一緒に歩くと遅れるようになった」
「横断歩道を渡るのが不安になった」
「買い物中に休憩することが増えた」
「外出から帰ると以前より疲れる」
「歩くときに足音がすれるようになった」
「歩幅が狭くなった」
「段差や坂道を避けるようになった」
「外に出る回数が減った」
これらの変化は、筋力やバランス、体力、痛み、生活習慣の変化に気づくきっかけになります。
ただし、ふらつきが強い場合や痛みがある場合は、無理に歩く練習を行わないようにしましょう。
安全のため、家族や専門職に相談しながら行うことが大切です。
家でできる簡単な工夫
歩くスピードが遅くなってきたときは、いきなり長い距離を歩こうとする必要はありません。
まずは、無理のない範囲で身体を動かす機会を作ることが大切です。
たとえば、次のような工夫があります。
「家の中でこまめに立ち上がる」
「椅子からの立ち座りを数回行う」
「安全な場所で足踏みをする」
「廊下をゆっくり往復する」
「天気の良い日に短い距離から散歩する」
「疲れる前に休憩を入れる」
大切なのは、急に頑張りすぎないことです。
その日の体調に合わせて、少しずつ活動量を保つことが大切です。

無理のない範囲で身体を動かす機会を作ることが大切です。
イラスト:いらすとや
デイサービスでできること
デイサービスでは、歩くスピードが遅くなってきた方に対して、身体の状態や生活動作を確認しながら機能訓練を行います。
たとえば、歩幅、足の上がり方、方向転換、立ち上がり動作、バランス、痛みの有無、疲れやすさ、靴や歩行補助具の使い方などを確認します。
また、ただ速く歩く練習をするのではなく、その方の生活に合わせて考えることが大切です。
「買い物に行けるようにしたい」
「家族と一緒に散歩したい」
「トイレまで安全に歩きたい」
「外出先で疲れにくくしたい」
「転倒が不安で外出を控えないようにしたい」
このような生活場面を考えながら、必要な運動や環境の工夫を一緒に確認していきます。
大切なのは、無理に速く歩くことではありません。
安全に配慮しながら、生活の中で歩く機会を保っていくことです。
まとめ
歩くスピードが遅くなる原因は、足の筋力だけではありません。
歩幅の狭さ、筋力や体力の低下、バランスへの不安、膝や腰の痛み、外出機会の減少など、さまざまな要因が関係します。
歩くことは、買い物、通院、散歩、トイレ、家の中の移動など、日常生活に欠かせない動作です。
早めに変化に気づき、身体の状態に合わせて運動や生活環境を整えることで、生活のしやすさを保つことにつながる可能性があります。
「以前より歩くのが遅くなった」
「家族の歩き方が気になる」
「外出すると疲れやすくなった」
「転倒が不安で外に出る回数が減った」
そのようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
運動は身体の状態に合わせて行うことが大切です。痛みや強いふらつきがある場合は、無理をせず専門職にご相談ください。
参考資料
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「健康日本21(第三次)における身体活動・運動の目標」
・国立長寿医療研究センター「フレイルの原因は?」
・健康長寿ネット「高齢者の歩行能力と病気の関連」
・日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ18 転倒予防」

